リノベーションとリフォームの違いは?

2022/01/19 ブログ

 

かつては住宅の改修を指す言葉としては「リフォーム」が一般的でした。そして近年では「リノベーション」という言葉を耳にする機会が増えたのではないでしょうか。

 

一見すると違いが分かりづらいリノベーションとリフォームの違いや、それぞれのメリットやデメリットを紹介する他、リノベーションが広まった背景を解説します。

 

 

 

リノベーションとリフォームの違い

 

リノベーションとリフォームは、今日の住宅市場において一般用語化した言葉です。

 

リノベーション推進団体のリノベーション協議会は、次のように位置付けています。

 

 

■中古住宅における「リノベーション」


中古住宅の機能・価値を再生するための改修であり、かつその家での暮らし全体に対処した包括的な改修。

 

中古住宅を居住者のライフスタイル・ライフステージあった暮らしやすい住宅にするため、間取り、床、天井、内装、外壁、住宅設備、配線・配管などをゼロベースから一新すると同時に、住宅の資産価値を高めるための既存住宅再生のこと。

 

 

■中古住宅における「リフォーム」


中古住宅の原状回復のための修繕や不具合箇所への部分的な対処。

 

経年劣化した中古住宅の居住性能を、新築時の現状に戻すための修繕や古くなった住宅設備の取替えのこと。


参考:リノベーションとは | リノベーション協議会

 

 

簡単に言えば、一般的なリフォームは「建築物を部分的に改修し、マイナスを0に戻すこと」、リノベーションは「建築物を改修し、新たな付加価値を生み出すこと」であり、「改修において付加価値を生み出すかどうか」が違いです。

 

この記事では、この定義に沿って解説します。

 

ただし広義の「リフォーム」は改修全般を指す言葉です。

 

改善・改良という意味も持つことから、「リフォーム」と言った場合、上記のリフォームやリノベーションに該当する施工全ても含む可能性があり注意が必要です。

 

 

 

リノベーションのメリット・デメリット

 

リノベーションのメリットとデメリットとして、一般に次が挙げられます。

 

 

リノベーションの主なメリット


(1)住宅性能をライフスタイル・ライフステージに合わせて変更できる自由度が高い。


(2)予算内で好立地での住まいを実現しやすい。


(3)資産価値の創出が期待できる


(4)新築物件購入より割安になりやすい。

 

 

リノベーションの主なデメリット


(1)工期が長い傾向にある。


(2)旧耐震基準で建築された中古物件は工事費が高額化するケースもある。

 

 

 

リフォームのメリット・デメリット

 

リフォームのメリットとデメリットとして、一般に次が挙げられます。

 

 

リフォームの主なメリット


(1)リノベーションより工期が短い。工事個所が限定的なので、短期間で工事を終了しやすい。


(2)工事完了後の居住空間をイメージしやすい。原状回復が目的なので、工事完了後の居住空間は工事前と基本的に変わらない。

 

 

リフォームの主なデメリット


(1)住宅性能は基本的に改善できない。あくまで原状回復に限られる。


(2)リフォーム個所の劣化が激しい場合は補修費が必要なので、リフォーム工事費が高額化する場合がある。


(3)リノベーションと比べ住宅改修の自由度が低い。

 

 

 

リノベーションが広まった背景

 

リノベーションやリフォームと言うと、かつては既に所持している自宅の改修工事を指していました。

 

ですが近年では「中古住宅を購入して、リノベーションやリフォームをおこなってから住む」と言う方が増加しています。

 

戸建て分譲住宅や分譲マンションは、統一仕様で建築された「規格住宅」。注文住宅より安い反面、間取りを始めとする住宅性能の選択肢が限られています。

 

そんな住宅市場において、限られた購入予算の範囲内で注文住宅と同じように自分たちの住宅を購入する手段として注目され、需要が高まってきたのが「中古住宅購入+リノベーション・リフォーム」です。

 

メリットは何と言っても、新規住宅に比べて比較的低予算で済むこと。

 

中古住宅購入におけるリノベーションとリフォームを比べると、現在の需要が高いのはリノベーションの方だと言われています。

 

デメリットがあってもリノベーションの需要が高い背景として、主に次の理由が挙げられています。

 

 

 

住宅価値観の変化

 

日本ではかつて「新築の持ち家」はステータスの象徴と言われていました。

 

このためおよそ30年の周期で自宅を取り壊して新築し直す住宅のスクラップ&ビルドが繰り返されてきました。

 

しかし近年は、以下のような社会環境や人口動態の変化により、「新築住宅至上主義」の価値観が薄れました。

 

 

● 住宅のスクラップ&ビルドに伴う大量の廃材処理による環境破壊が社会的に問題視されるようになった


● 雇用流動化や共働きによる転居の増加により、土地に縛られる「新築の持ち家」はステータスの象徴にならなくなった

 

 

それに伴い中古住宅流通市場が拡大し、中古住宅購入に抵抗感を持つ消費者も減少しました。

 

こうした住宅価値観の変化を背景に、「自分たちのライフスタイルやライフステージに合った住宅」を実現する手段として、「中古住宅購入+リノベーション」を選択する消費者が増加したと言われています。

 

 

 

希望する中古物件探しと購入の容易さ

 

国の優良中古住宅流通促進政策を背景に、レインズを始めとする中古住宅流通の市場環境が整備され、近年は立地を含めた希望中古物件探しと購入が容易になりました。

 

このため「中古住宅購入+リノベーション」を選べば、「自分たちのライフスタイルやライフステージに合った住宅住替え」が立地を含めて容易になっています。

 

また以前は、リノベーション工事資金調達手段として一般の低利な住宅ローは利用できませんでした。ローンを利用する際は住宅ローンより高利の「リフォームローン」を利用しなければなりませんでした。

 

このため「中古住宅購入+リノベーション」資金を全額ローンで調達する場合は、中古住宅購入の住宅ローンとリフォームローンの複雑なローン組成手続きが必要でした。

 

しかし現在は「中古住宅購入+リノベーション」需要増加を背景に、中古住宅購入用の住宅ローンとリノベーション用のリフォームローンをセットにすることで、リフォームローンの金利を住宅ローン並みに引き下げた「セット型ローン」を金融機関が販売しています。

 

資金調達面でも「中古住宅購入+リノベーション」を選択しやすい環境が整ってきています。

 

 

 

まとめ

 

ライフスタイルが多様化する中、個人の希望を低予算で満たしやすいリノベーションの需要は特に高まりつつあります。

 

リノベーションは注文工事です。

 

施工がリフォームのように標準化されていないことも多く、工事費を相場と比べづらいとも言われています。どんなリノベーションをするかで工事規模、間取り、建材、住宅設備、施工法などが一件ごとに異なるからです。

 

しかし工事費が記載されているリノベーション工事会社の施工事例情報を収集することで、自分たちが計画しているリノベーション工事費の目安をある程度把握することが可能です。

 

さらに購入した中古物件を複数のリノベーション工事会社に現地調査してもらい、自分たちのリノベーション計画を示して相見積を取れば、かなり正確な工事費の把握が可能です。

 

いずれにしても「中古住宅購入+リノベーション」の場合は、リノベーション工事施工実績が豊富で工事の信頼性が高いリノベーション工事会社へ事前に相談し、意見を聞くのが無難と言えるでしょう。
 

 

 

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